妊娠初診でよくある検査と、その「目的」を知ろう


産婦人科での初診は、妊娠しているかの確定診断だけでなく、お母さんと赤ちゃんの今後の健康を守るための大切なステップです。いくつかの重要な検査が行われますが、それぞれにしっかりとした目的があります。

「何の検査だろう?」と不安に思わなくても大丈夫!これから、初診でよく行われる検査とその目的を詳しく解説しますね。

① 尿検査(妊娠の確定と体のチェック)

検査内容目的
妊娠反応妊娠を維持するために必要なホルモン(hCG)が尿中に出ているかを確認し、妊娠を確定します。
尿糖(にょうとう)・尿蛋白(にょうたんぱく)尿中に糖やタンパクが出ていないかをチェックします。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの病気の兆候を早期に発見するためです。
ケトン体つわりが重い場合、食事が取れていないと尿中にケトン体が出ます。脱水や栄養状態の把握に役立ちます。

初診では、まずこの尿検査で妊娠が確定されます。今後の健診でも毎回行われる、とても基本的なチェックです。

② 超音波検査(エコー検査):赤ちゃんの状態を視覚で確認

エコー検査は、妊婦健診の中でも特に重要な検査です。初診時は、お腹の上からではなく、膣から超音波の機械(プローブ)を入れる**「経腟超音波検査(けいちつちょうおんぱけんさ)」**が行われるのが一般的です。

検査内容目的
胎嚢(たいのう)の確認子宮の中に赤ちゃんが入る袋(胎嚢)があるかを確認します。**子宮外妊娠(異所性妊娠)**でないかを判断する上で極めて重要です。
心拍の確認赤ちゃんの心臓の動き(心拍)が確認できるかをチェックします。心拍が確認できれば、より妊娠継続の可能性が高まります。
妊娠週数と分娩予定日の決定赤ちゃんの頭からお尻までの長さ(頭殿長など)を計測し、正確な妊娠週数を推定し、出産予定日を確定します。
子宮や卵巣のチェック子宮筋腫や卵巣のう腫など、妊娠に影響を及ぼす可能性のある婦人科系の異常がないかを確認します。

③ 問診とバイタルサイン測定(お母さんの健康状態の把握)

検査内容目的
問診最終月経日、生理周期、既往歴(過去の病気や手術)、アレルギー、現在の体調など、今後の妊娠経過に不可欠な情報を医師が聞き取ります。
血圧測定妊娠高血圧症候群の兆候がないかをチェックします。
体重測定妊娠初期から適切な体重管理をするためのベースラインを記録します。

④ 血液検査(妊娠初期の必須項目チェック)

妊娠初期の血液検査は、初診と同時に、または後日行われることがありますが、とても項目が多く、大切です。

検査内容目的
血液型(ABO・Rh式)緊急時の輸血に備えるほか、血液型不適合妊娠のリスクがないかを確認します。
貧血の有無(血算)妊娠中は貧血になりやすいため、赤血球やヘモグロビンなどの数値をチェックし、必要に応じて鉄剤などの処方につなげます。
感染症のチェック風疹、B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒などの感染症に罹患していないかを調べます。これらは赤ちゃんに感染するリスクがあるため、早期に発見し、必要な対応をとるために必須の検査です。
血糖値妊娠糖尿病など、血糖値の異常がないかを調べます。

⑥ 子宮頸がん検診(細胞診)

妊娠中に子宮頸がん検診をまだ受けていない場合、初期の段階で行われることがあります。

検査内容目的
子宮頸部細胞診子宮頸部の細胞を採取し、がん細胞がないかを調べます。妊娠中に子宮頸がんが見つかった場合でも、適切な治療計画を立てるために必要な検査です。

これらの検査は、すべてお母さんと赤ちゃんの安全を守り、健康的な妊娠生活を送るためのものです。不安に思うかもしれませんが、わからないことは遠慮せずに医師や看護師に質問してくださいね。安心して出産を迎えるために、大切な第一歩を踏み出しましょう!