妊娠初診で「つわりの症状」を正しく伝えるには?医師が知りたい具体的な話し方と注意点
妊娠初期の産婦人科初診は、期待と不安が入り混じるものです。特につわりの症状がすでに出ている場合、そのつらさをどう伝えたらいいか迷う方も多いでしょう。
つわりの症状は人によって大きく異なり、医師はあなたの症状の程度によって、治療や生活指導の必要性を判断します。曖昧な表現ではなく、具体的な事実を伝えることが、適切なアドバイスを受けるための重要な一歩となります。
ここでは、初診でつわりの症状を伝える際に医師が最も知りたい情報と、具体的な伝え方のフレーズを詳しく解説します。
1. 医師に伝えるべき「つわりの基本情報」
診察でつわりの話題になったら、以下の3つの基本事項を整理して伝えましょう。
📌 1. 症状が「いつから」始まったか
つわりが始まった時期は、現在の妊娠週数と症状の関連性を判断する上で重要です。
伝えるフレーズ例: 「だいたい妊娠6週目に入った頃(または2週間前くらい)から、ムカムカし始めました。」
📌 2. 症状の「種類」を具体的に
つわりは「吐き気」だけではありません。どのタイプがつらいのかを明確にしましょう。
つわりの種類 | 伝えるフレーズ例 |
吐きづわり(嘔吐・吐き気) | 「1日に〇回ほど吐いてしまいます。」「常に胃のムカつきがあり、立っているのがつらいです。」 |
食べづわり(空腹時の不快感) | 「お腹が空くと気持ち悪くなります。何か食べていないと落ち着きません。」 |
においづわり | 「炊飯中の匂いや特定の食品の匂いがダメで、キッチンに立てません。」 |
よだれづわり | 「唾液がどんどん出てきて、飲み込むと気持ち悪くなるので、常にタオルが必要です。」 |
📌 3. 症状の「程度」と「生活への影響」
最も重要なのは、「どれくらいつらいか」を客観的に伝えることです。医師はあなたの脱水や栄養状態を判断するために、具体的な生活への影響を知りたいと考えています。
伝えるフレーズ例:
「つわりがひどい日は、仕事に行けず休んでいます。」(仕事・活動への影響)
「水は飲めますが、食べ物はほとんど受け付けず、〇日間まともに食事をしていません。」(食事・水分摂取の状況)
「つらすぎて、一日中ベッドから起き上がれません。」(活動の制限)
2. 【深刻なサイン】「妊娠悪阻」の可能性がある場合に伝えるべきこと
通常のつわりとは異なり、重症化して入院治療が必要になる状態を**妊娠悪阻(にんしんおそ)**といいます。以下の症状がある場合は、命に関わる脱水状態の可能性があるため、特に詳しく具体的に伝え、緊急度が高いことを示しましょう。
深刻な症状 | 医師への具体的な伝え方 |
水分が摂れない | 「〇時間以上、水やお茶を一口も飲めていません。」 |
体重の減少 | 「つわりが始まってから、〇kg体重が減りました。」(初診時に正確な数字を伝えるのがベスト) |
尿の回数・量 | 「トイレに行く回数が極端に減り、尿の色が濃くなりました。」 |
血液の混入 | 「吐きすぎて、最後に少量の血が混じることがありました。」 |
🚨 伝わりやすい「具体的な数字」を使う
つらさを伝えるときは、「少しつらい」「まあまあひどい」といった抽象的な表現ではなく、「回数」「時間」「重さ(体重)」「量」といった具体的な数字で表現しましょう。
✕ NG例: 「最近、全然食べられなくてつらいです。」
◎ OK例: 「この3日間で、1日に2回以上吐いてしまい、固形物はリンゴ半分しか食べていません。体重が1.5kg減りました。」
3. 医師に相談し、適切なサポートを受けるためのポイント
つわりを我慢することは、母体や赤ちゃんにとってリスクとなりかねません。適切な医療サポートを受けましょう。
💊 薬や点滴の相談を遠慮しない
つわりを抑える薬(吐き気止めなど)は限られていますが、症状によっては点滴(水分・栄養補給)や漢方薬などの治療法が有効な場合があります。特に水分や食事が摂れずにつらい場合は、遠慮せずに相談しましょう。
相談フレーズ: 「つらすぎて脱水が心配です。点滴などで栄養を補給することはできますか?」
🏠 生活指導と仕事の相談
医師からの**「診断書」**があれば、職場での配慮(一時的な休職や業務内容の変更など)を受けやすくなります。
相談フレーズ: 「この症状だと、日常生活でどれくらい安静にすべきでしょうか?」「仕事のことで、診断書をいただくことは可能でしょうか?」
つわりのつらさは、他者には理解されにくいこともあります。しかし、産婦人科の医師はあなたの**「つらい」**という訴えを真剣に受け止めます。事前に情報を整理し、勇気をもって具体的に伝えることが、あなたと赤ちゃんにとって最良の妊娠期間を送るための鍵となるでしょう。