妊娠初診のエコー検査の流れ:知っておきたいこと


妊娠が判明し、初めて産婦人科を受診するときに行われるエコー(超音波)検査は、これから始まる妊娠生活において非常に重要なステップです。多くの場合、この初診では経腟エコーが用いられます。

この初診でのエコー検査は、単に妊娠しているかを確認するだけでなく、安全に出産を迎えるための大切な情報を得るのが目的です。


妊娠初診エコー検査の目的(週数:妊娠4週〜8週頃)

妊娠初期の初診(生理予定日から数週間後)でエコー検査を行う主な目的は以下の通りです。

  1. 子宮内妊娠の確認:子宮内に**胎嚢(たいのう、赤ちゃんの袋)**があるかを確認し、子宮外妊娠(異所性妊娠)ではないかを判断します。

  2. 妊娠週数の特定:赤ちゃんの大きさ(胎嚢の直径や胎芽の頭殿長:CRL)を計測し、正確な出産予定日を算出します。

  3. 心拍の確認:胎芽(たいが、赤ちゃん本体)の**心拍動(心臓の動き)**があるかを確認し、赤ちゃんの生存を確かめます。

  4. 多胎妊娠の確認:胎嚢が複数あるかを確認し、双子などの多胎妊娠ではないかを調べます。

  5. 子宮や卵巣のチェック:子宮筋腫や卵巣嚢腫など、妊娠の継続に影響を与える可能性のある合併症の有無を確認します。


検査の流れ:経腟エコー(通常の方法)

妊娠初期は赤ちゃんが非常に小さく、子宮も骨盤の奥深くに位置しているため、より鮮明に観察できる経腟超音波検査が一般的です。

1. 検査準備

  • 排泄:検査直前に尿を済ませておきます。膀胱が空の状態の方が、子宮や卵巣が観察しやすくなります。

  • 問診:医師または看護師から最終月経の開始日、妊娠検査薬の結果、現在の自覚症状(つわり、出血など)について聞かれます。

2. 検査実施

  1. 内診台へ:診察台(内診台)に横になり、下着を脱いで準備します。

  2. プローブ挿入:医師が超音波を発する**細長いプローブ(器具)**にカバーと潤滑剤(ゼリー)をつけ、腟内に優しく挿入します。痛みはほとんどありませんが、緊張で力が入ると圧迫感を感じる場合があります。

  3. 観察と記録:医師がプローブを動かし、モニターに映し出される映像を見ながら、子宮や卵巣の状態、胎嚢、胎芽、心拍などを観察します。

    • この段階で、医師から「ここが赤ちゃんの袋ですね」「心臓が動いていますよ」といった説明があるでしょう。

    • 確認できた赤ちゃんの大きさ(例えば胎嚢のサイズやCRL)を計測し、写真(エコー写真)をプリントアウトします。

  4. 終了:観察が終わるとプローブが抜かれ、検査は終了です。

3. 検査後の説明

  • 医師はエコーの結果に基づき、現在の妊娠週数確定した出産予定日を伝えます。

  • 心拍が確認できた場合は、ひとまず順調な妊娠と判断されますが、もし心拍が見えない場合は、週数を改めて再検査となることがあります。

  • 今後の妊婦健診のスケジュールや、現在の体調(つわり対策など)についての指導が行われます。


初診エコーの「見えるもの」の目安

妊娠の初期段階では、数日単位で赤ちゃんの成長が進むため、週数によってモニターに映るものが異なります。

週数の目安モニターで見えるもの
妊娠4~5週胎嚢(たいのう):子宮の中に黒い丸い袋として確認できるのが一般的です。
妊娠5~6週卵黄嚢(らんおうのう):胎嚢の中に白いリング状に見える、赤ちゃんに栄養を送る袋。
妊娠6週以降胎芽(たいが)心拍:胎嚢の端に、小さな点や線のように赤ちゃん本体(胎芽)が見え始め、チカチカと動く心拍が確認できます。

初めての妊娠やエコー検査は不安かもしれませんが、落ち着いて検査を受ければ大丈夫です。この検査で赤ちゃんの小さな姿を見られることは、きっと感動的な体験になるでしょう。