妊娠初診で尿検査を受ける理由:小さな検査でわかる大切なこと 🔬
妊娠が判明して初めて産婦人科を受診する際、エコー検査と並んで必ず行われるのが尿検査です。自宅で行う妊娠検査薬も尿を使いますが、初診時の尿検査はさらに多くの情報、特にお母さんの健康状態と妊娠の安全性に関わる大切なデータを得るために実施されます。
1. 妊娠の確定と現在の健康状態の把握
① HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の確認
市販の妊娠検査薬と同じように、尿中に含まれるhCG(エイチシージー)というホルモンを再確認します。このホルモンは受精卵が子宮に着床することで分泌されるため、改めて妊娠を確定するための重要な指標となります。
② 尿糖(にょうとう)のチェック
尿中に糖が含まれていないかを調べます。
通常、健康な状態では尿中に糖は検出されませんが、妊娠中はホルモンの影響で血糖値のコントロールが難しくなり、妊娠糖尿病を発症することがあります。
妊娠糖尿病は、母体や赤ちゃんに様々なリスクをもたらすため、初期の段階で尿糖をチェックし、必要に応じて精密検査(ブドウ糖負荷試験など)を行うきっかけとなります。
③ 尿タンパク(にょうタンパク)のチェック
尿中にタンパク質が含まれていないかを調べます。
腎臓の機能に問題がある場合や、妊娠高血圧症候群(以前は妊娠中毒症と呼ばれていました)の兆候がある場合に、尿タンパクが陽性となることがあります。
特に妊娠後期で尿タンパクや血圧の上昇が見られると重症化のリスクがあるため、初診の段階から基本的な腎機能の状態を確認しておくことが大切です。
2. 感染症や炎症の有無の確認
④ 尿潜血や尿路感染症の確認
尿中に血液(潜血)や白血球などが含まれていないかを調べます。
白血球や細菌が多く検出された場合は、膀胱炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)といった尿路感染症が疑われます。
妊娠中は免疫力の低下や子宮による膀胱の圧迫などから、尿路感染症になりやすい傾向があります。これらの感染症は、流産や早産の原因になることもあるため、早期に発見し、適切な治療を行う必要があります。
💡 初診で尿検査を受ける際のワンポイントアドバイス
中間尿を提出する:検査で正確な結果を得るために、採尿する際は、出始めの尿(初尿)を少し捨ててから、途中の尿(中間尿)を採るようにしましょう。
水分補給は普段通りに:濃い尿が欲しいからといって極端に水分を控える必要はありませんが、あまりにも薄い尿だと正確な検査ができない場合があるため、普段通りに水分補給をしておきましょう。
このシンプルな尿検査の結果は、その後の妊娠生活を安全に送るための基礎情報となります。不安なことがあれば、結果について遠慮なく医師に質問してみてくださいね。