あなたも狙われているかも?デジタル遺品詐欺の巧妙な手口と対策
近年、「デジタル遺品」という言葉を耳にする機会が増えました。スマートフォンやパソコン、クラウドサービスに保存されたデータやアカウント情報など、故人が残したデジタルな財産のことを指します。
しかし、この「デジタル遺品」を巡って、新たな詐欺の手口が登場しているのをご存知でしょうか?それが、大切な故人の遺産相続を狙う「デジタル遺品詐欺」です。
この記事では、そんな巧妙な詐欺の手口と、自分や家族が被害に遭わないための具体的な対策について、わかりやすく解説します。
デジタル遺品詐欺とは?その恐ろしい手口を解説
デジタル遺品詐欺は、主に以下のような手口で遺族に近づいてきます。
手口1:身元を偽る「なりすまし」
故人のSNSアカウントやメールアドレスをハッキングし、故人になりすまして遺族に連絡を取る手口です。「遺言書をデジタルデータで残している」「大切な情報がクラウドに保存されている」などと語りかけ、巧みにパスワードや個人情報を聞き出そうとします。
なりすましの例: 「生前、秘密の投資をしていた。そのデータにアクセスするために、パスワードを教えてほしい」「私の遺言書がこのアドレスに送られている。確認してほしい」といったメッセージを送る。
手口2:不安を煽る「高額な請求」
「故人のデジタル資産を整理するためには、高額な手数料が必要です」「特別なツールを使わないとデータは消えてしまいます」といった言葉で、遺族の不安を煽り、高額な費用を請求してくる手口です。
請求の例: 「故人の仮想通貨アカウントを解錠するためには、当社の特別なサービスが必要です。費用は〇〇円になります」「クラウドサービスのアカウントを引き継ぐには、手数料を振り込んでください」といった形で金銭を要求する。
手口3:偽サイトへの誘導
故人のアカウント情報を引き継ぐ手続きと称して、偽のウェブサイトへ誘導する手口です。そこで入力したIDやパスワード、クレジットカード情報などが盗み取られてしまいます。
誘導の例: 「故人が利用していたSNSのアカウント引き継ぎ手続きはこちらから」といったメッセージとともに、本物そっくりの偽サイトのURLを送りつける。
これらの詐欺の手口は、大切な家族を亡くして悲しみや混乱の中にいる遺族の心の隙間につけこむ、非常に悪質なものです。
デジタル遺品詐欺から身を守るための具体的な対策
では、デジタル遺品詐欺の被害に遭わないためには、どうすれば良いのでしょうか?個人や家族でできる予防策を3つご紹介します。
対策1:安易に情報を教えない
故人のアカウント情報やパスワードは、いかなる理由があっても、身元が不明な相手には絶対に教えないようにしましょう。公的な機関や信頼できる企業が、メールやSNSを通じてパスワードなどの個人情報を尋ねることはありません。
対策2:専門家や公的機関に相談する
故人のデジタル遺品の整理に困った場合は、まず弁護士や司法書士といった専門家、または消費者センターなどの公的機関に相談しましょう。信頼できる相談先を確保しておくことが、詐欺を未然に防ぐ第一歩です。
対策3:生前から「デジタル終活」を始める
最も効果的な対策は、生前から「デジタル終活」に取り組むことです。
IDやパスワードをリスト化する: 故人がどのようなサービスを利用していたか、IDやパスワードをまとめたリストを作成しておきましょう。
エンディングノートに記録する: どのサービスを解約したいか、SNSアカウントをどのように扱ってほしいかなど、希望をエンディングノートに書いておきましょう。
信頼できる人に情報を共有する: 万が一に備え、信頼できる家族や友人だけに、リストの存在や保管場所を伝えておくのも有効です。
これらの対策は、詐欺を防ぐだけでなく、将来的に遺族が混乱することなく、スムーズに遺産相続や手続きを進めることにもつながります。
まとめ:詐欺に遭わないための心構え
デジタル遺品詐欺は、故人を想う遺族の気持ちにつけこむ、許しがたい犯罪です。
**「急いで!」や「今だけ!」**といった言葉には注意する。
少しでもおかしいと思ったら、一人で判断しない。
安易に金銭を支払ったり、個人情報を教えたりしない。
この3つの心構えを持つことが、詐欺から身を守るための大きな盾となります。大切な人の残したデジタルな財産を、正しい方法で整理し、遺産相続を進めていきましょう。