【起業家必見】同一事業で複数の会社を設立するのはNG?リスクと合法的な経営術
「事業が軌道に乗ってきたから、もう一つ会社を作って節税したい」
「事業拡大のために、同じ事業内容で子会社を設立するのはどうなんだろう?」
事業を複数展開する際に、「同一の事業内容で複数の会社を設立することはできるのだろうか?」と疑問に思う方は少なくありません。
結論から言うと、法律で明確に「禁止」されているわけではありません。しかし、安易に複数の会社を設立すると、大きなリスクを伴う可能性があります。
この記事では、同一事業で複数の会社を設立することの法的・税務的リスクと、それを避けて合法的に事業を多角化していくための経営術を解説します。
1. なぜ「同一事業で複数会社」は避けるべきなのか?
同一の事業内容で複数の会社を設立すること自体に違法性はありませんが、その目的や運営方法によっては、以下のリスクを招く可能性があります。
リスク① 税務署から「租税回避」とみなされる
これが最も大きなリスクです。税務署は、企業が税負担を不当に軽くしようとする行為(租税回避)を厳しく監視しています。
**「利益の付け替え」や「経費の二重計上」**など、複数会社を利用して意図的に税金を減らそうとしていると判断された場合、追徴課税やペナルティが課される可能性があります。
特に、以下のようなケースは税務調査の対象となりやすいです。
社長が同じで、利益だけを特定の会社に集中させている
取引内容が不透明で、客観的な証拠に乏しい
複数の会社が同じオフィスや従業員を共有している
リスク② 経営の実態が曖昧になる
複数の会社を持つことで、事業の全体像が見えにくくなり、経営の効率が悪化する可能性があります。
責任の所在が不明確になる: 複数の会社にまたがるプロジェクトで、トラブルが発生した際に、どちらの会社が責任を負うのか曖昧になることがあります。
取引先や金融機関からの信用低下: 「なぜ同じ事業内容で複数の会社があるのか?」と不審に思われ、信頼を失う可能性があります。
2. 合法的に複数の会社を持つためのポイント
では、どのような場合に複数の会社を持つことが認められるのでしょうか?
重要なのは、それぞれの会社に設立する明確な目的と、独立した事業実態があることです。
〇 健全な「分社化」の例
事業リスクの分散: 利益率の高い事業とリスクの高い新規事業を別の会社にすることで、全体の経営リスクを低減させる。
新規事業の展開: 新しい事業を始める際に、既存の事業とは異なるブランドイメージや企業文化を構築するために、別会社としてスタートさせる。
M&A(合併・買収)への対応: 事業単位で売却・買収をしやすくするために、あらかじめ事業ごとに会社を分けておく。
これらの場合、それぞれの会社が独立した事業として成り立っているため、税務上の問題は起こりにくいです。
3. 会社を複数持つメリットを活かす経営術
複数の会社を設立するメリットは、節税だけではありません。
事業リスクの分散: 特定の事業が不振に陥っても、他の事業の収益で補うことができます。
キャッシュフローの最適化: 会社ごとに資金管理を分けることで、効率的な資金繰りが可能になります。
ブランドイメージの確立: 異なる事業内容ごとに会社を分けることで、それぞれのブランドイメージを明確にすることができます。
これらのメリットを享受するためには、各会社の事業内容を明確に区別し、それぞれの財務状況を適切に管理することが不可欠です。
まとめ:目的を明確にし、専門家に相談しよう
同一の事業内容で複数の会社を設立することに法律上の禁止はありませんが、その目的が**「租税回避」**とみなされると、大きなリスクを伴います。
安易な節税目的ではなく、**「事業リスクの分散」「事業拡大」**といった明確な目的を持って分社化を検討しましょう。
不安な点がある場合は、税理士や弁護士などの専門家に相談し、合法的に経営を進めていくことをおすすめします。