生活保護を申請したい…「持ち家」はどうなる?手放さずに住める可能性も!
生活に困窮し、いざ「生活保護」の申請を考えたとき、多くの方が心配されることの一つに「持ち家はどうなるのだろう?」という疑問があるのではないでしょうか。「せっかく手に入れた家なのに、手放さないといけないの…?」と、不安な気持ちになるのは当然のことです。
実は、生活保護の制度では、必ずしも持ち家を手放さなければならないわけではありません。あなたの状況によっては、住み慣れた家で生活保護を受けられる可能性もあるのです。今回は、生活保護と持ち家の関係について、基本的な考え方や知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
生活保護と持ち家:基本的な考え方「原則と例外」
生活保護は、「生活に困窮する方が、国が定める最低限度の生活を保障する」ための制度です。そのため、申請時には、持っている資産(預貯金、土地、建物、車など)をまず生活費に充てることが原則とされています。
- 原則: 換金できる資産は、売却して生活費に充ててから生活保護を申請する。
- 例外: しかし、この「資産」には例外があります。特に「居住用の持ち家」については、一定の条件を満たせば、保有したまま生活保護を受けられる場合があります。これは、住む場所を失うことで、かえって生活が不安定になったり、新たに賃貸契約を結ぶ費用がかかったりするのを避けるためです。
持ち家を保有できる「3つの主な条件」
では、どのような場合に持ち家を保有しながら生活保護を受けられる可能性があるのでしょうか?主な条件は以下の通りです。
1. その家に住み続けていること(居住用であること)
これが最も重要な条件です。あくまで「現在、あなたが生活の拠点として住んでいる家」であることが求められます。別荘や賃貸に出している物件、空き家になっている相続物件などは、原則として売却を求められます。
2. 資産価値が高すぎないこと
あなたの持ち家の価値が、その地域の標準的な住宅と比較して「豪華すぎる」と判断されないことが条件です。明確な金額基準はありませんが、例えば、売却価格が数千万円を超えるような高額な物件は、売却を指導される可能性が高いでしょう。
3. 住宅ローンが残っていない、または完済していること
住宅ローンが残っている場合、生活保護費でローンの返済を続けることはできません。そのため、原則として持ち家を売却し、ローンを精算するよう指導されます。ローンを完済している家であれば、保有が認められる可能性が高まります。
補足:売却が著しく困難な場合も考慮される
上記条件に当てはまらなくても、例えば、地方で築年数が非常に古く、買い手が見つからないなど、客観的に見て売却が著しく困難な場合は、保有が認められるケースもあります。
「持ち家」に関するよくある疑問Q&A
Q1: 住宅ローンが残っていても生活保護は受けられますか?
A1: 原則として、住宅ローンが残っている持ち家を保有したまま生活保護を受けることは難しいです。生活保護費は最低限の生活費を保障するものであり、ローンの返済は対象外だからです。ローンがある場合は、任意売却やリースバックなど、専門家と相談して解決策を探る必要があります。
Q2: 持ち家の維持費は生活保護費でまかなえますか?
A2: 生活保護には、家賃や地代を補助する「住宅扶助」がありますが、持ち家の固定資産税や修繕費、リフォーム費用などは原則として住宅扶助の対象外です。ただし、**「住宅維持費」**という形で、老朽化による緊急性の高い修理(雨漏り、破損など)に対して、一時的に扶助が認められる場合があります。詳細はお住まいの地域の福祉事務所に相談が必要です。光熱費や水道代は「生活扶助」から支払うことになります。
Q3: 生活保護中に実家や不動産を相続したらどうなりますか?
A3: 生活保護を受給中に不動産を相続した場合、その不動産はあなたの「資産」となります。原則として売却し、その売却益を生活費に充てることになります。売却益が生活保護費の基準を上回る場合は、一時的に生活保護の支給が停止されたり、廃止されたりすることもあります。また、それまでに受け取った生活保護費の返還が求められる可能性もあります。
Q4: 持ち家の売却を勧められたらどうすればいいですか?
A4: まずは福祉事務所のケースワーカーとしっかりと話し合いましょう。売却指導に従うか、あるいは他に生活を安定させる方法がないかなどを相談し、納得できる選択肢を探すことが重要です。自己判断で動かず、必ず事前に相談してください。
まず最初に!福祉事務所への「相談」が一番のステップ
生活保護の制度は複雑で、個々の状況によって判断が異なります。インターネットの情報だけで自己判断せずに、まずはお住まいの地域の福祉事務所の窓口に相談に行くことが最も確実なステップです。
ケースワーカーがあなたの状況を詳しくヒアリングし、持ち家の状態や家族構成、収入、資産状況などを総合的に判断してくれます。相談は無料で、秘密も厳守されますので、安心して現在の状況を伝えてみましょう。
まとめ:不安を抱え込まず、専門家に相談を
「持ち家があるから生活保護は無理かも…」と一人で悩まずに、まずは福祉事務所に相談することが、状況打開への第一歩です。住み慣れた家を手放さずに生活を立て直せる可能性もありますし、仮に売却が必要になったとしても、その後の生活再建に向けて一緒に考えてくれるはずです。
あなたの暮らしを守るための制度ですから、諦めずに、ぜひ専門家の力を借りてみてくださいね。