債務者の財産調査って何を調べるの?お金を回収したいときのやさしい手引き
お金を貸したけれど、返ってこない…。裁判に勝ったのに、支払いがない…。そんなときに出てくるのが「債務者の財産調査」という言葉です。
でも、「財産調査って、具体的に何をするの?」「どこまで調べていいの?」と疑問や不安を感じる方も多いはず。
この記事では、財産調査の基礎知識から、実際の調査方法、注意点やリアルな対策方法まで、やさしく解説していきます。
そもそも「債務者の財産調査」とは?
まず最初に押さえておきたいのは、財産調査は、債務者の持つお金や資産の“ありか”を把握するための行動であるということです。
◉ なんのために調べるの?
債務者が支払いをしない場合、強制執行(差し押さえ)を行うには、差し押さえる対象の財産を特定する必要があります。
つまり、「どこに財産があるのか」を調べるのが、この財産調査の役割なんです。
調査の対象になる「財産」って?
財産といっても、現金や銀行口座だけではありません。調査の対象になる主なものには、以下があります。
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銀行口座(預金残高)
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給与(勤務先)
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不動産(自宅や土地など)
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車やバイク
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株式・証券
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生命保険の解約返戻金
つまり、“お金に換えられる価値があるものすべて”が対象です。
財産調査は誰がどうやってやるの?
「調査って、弁護士に頼まないとできないの?」と思うかもしれませんが、個人でも調査に取り組むことは可能です。ただし、調べられる範囲には限界があります。
◉ 1. 自力でできる調査(任意調査)
たとえば、
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債務者のSNSや名刺、名簿から勤務先を特定
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公的な不動産登記簿から土地や建物を調査
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本人の過去の発言や郵便物から口座情報を推測
など、日常的な情報の中から財産の手がかりを探す方法もあります。
◉ 2. 裁判所を通じた調査(法的手続)
より確実に調査をしたい場合は、裁判所を通じて「財産開示手続」や「第三者からの情報取得手続」を行う方法があります。
財産開示手続とは?
債務者に対して、裁判所で財産の内容を申告させる制度です。正当な理由がないのにこれに応じないと、刑事罰の対象になることもあります。
第三者からの情報取得手続とは?
これは、銀行・市役所・法務局などの第三者に対して、債務者の情報を開示請求できる制度。2020年以降、一定条件下で個人でも利用しやすくなりました。
財産が見つかったらどうなるの?
財産の所在がわかれば、次は差し押さえの申立てです。
差し押さえできるもの・できないもの
差し押さえは、すべての財産に自由に行えるわけではありません。たとえば、以下のような違いがあります。
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✅ 差し押さえ可能:
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給与(法定限度内)
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銀行預金
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不動産
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❌ 差し押さえ不可:
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最低限の生活費
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家具・家電など生活必需品
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公的年金(原則)
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債務者が「財産がない」と言っている場合の注意点
債務者が「お金なんて持っていない」と主張しても、実際に調査してみると財産が見つかるケースも少なくありません。
また、故意に財産を隠していた場合、「財産隠し」として法的に問題視されることもあります。
財産調査を行うときの注意点
◉ 個人情報保護に配慮を
調査といっても、違法に個人情報を取得するのはNGです。たとえば、銀行に直接電話しても、口座情報を教えてくれることはありません。
調査は、あくまで法的に認められた手続きの中で行うことが大切です。
◉ 早めに専門家に相談するのも手
財産調査や差し押さえには、手続きや書類の準備が必要です。不安なときは、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのも安心な選択肢です。
まとめ|財産調査は“お金を回収する第一歩”
債務者の財産調査は、お金を取り戻すために欠かせないステップです。「調べても無駄かも…」と諦めず、できることから一歩ずつ進めることで、回収の可能性が見えてくることもあります。
調査は難しいことのように思えますが、正しい手順を踏めば個人でも行える手続きです。焦らず、冷静に、そして法に則って進めましょう。